【経過報告】令和7年10月の農作業(かなり遅れています涙)。
10月8日は二十四節気の「寒露」(かんろ)。
朝夕の冷え込みが厳しくなり、高標高地では初冠雪の知らせも届く時節です。
実際に、ここ志和町でも初霜が降りたことがあり、露地野菜に防寒対策を施したこともあります。
しかし今年は29℃!!!
2023年、24年、25年と、3年連続で残暑が厳し過ぎです。
前置きはこれくらいにして、結論から先に。
野菜の生育(とくに葉野菜)が遅れており、セット販売の再開も遅れます。
お米は順調。新米は11月下旬から販売予定(ただし野菜のお客様に限定)。
野菜セットの再開は、11月以降にズレ込みます。
いま育っているインゲン豆、すだち、きゅうりなどの単品は「道の駅 のん太の酒蔵」さんに出品しています。
自然栽培のお米(旭・ゆめまつり)は順調で、10月20日前後に稲刈り、2週間の天日干し、脱穀、籾摺りを経て、11月中旬から販売になります。
昨年よりも収量増の見込みですが、保育園に1年分、自然食品店に100キロ超の約束があり、在庫の販売は「野菜セットのお客様」に限定させて頂きます。
ここからは長い言い訳です。
1.9月の苗づくりが厳しかった。
2.獣害も厳しかった。
3.雑草の生育スピードが異常に速く、草刈りに時間を取られ過ぎた。
4.畑の半分超を移転している最中で、そこの水はけが悪すぎた。
5.病害虫の被害も出た。
6.残暑が異常に厳しい。しかも雨が一気に降り過ぎ。
7.田んぼの移転も決まっており、用排水の見直しや畔の作り直しに迫られている。
1.9月の苗づくりが厳しかった。
ふつうは8月から秋冬野菜の育苗をスタートします。
春までの長いシーズンの収穫量を決める大切な作業です。
七三農園は育苗ハウスが小さい(すなわち熱容量も小さく、暑さ寒さに弱い)ので、8月下旬からスタートしました。
天井をタキイのクールホワイトで被覆し、ほぼ全面メッシュで暑さ対策を行いましたが、やはり暑すぎでした。
8月播きの野菜の発芽率は壊滅的に悪くなりました。
9月に播き直して、やっと苗が育ったものの、やはり徒長気味で弱い苗になりました。
原因はいくつか考えられますが、
熱射対策により昼間の温度は下がったものの、夜温が高いままだった。
合板製の育苗台に熱がこもって暑さに拍車を掛けた。
合板製の育苗台とセルトレイの間に水が溜まり、セル内の排水性と通気性が悪くなった。
天井被覆により日陰になり、光量が不足した。
などが考えられます。
また、新品のタネでも著しく発芽率が低かったもの(品質不良)もありました(カーボロネロ、愛知早生白タマネギなど)。
【来年どうするか】
夜間はサーキュレーターを導入して夜温を下げる。
夏場は育苗台を取り外して、フレームだけにして通気性を改善する。
出来れば、育苗ハウスを新設・拡大する(無理だけど)。
タネは冷蔵保管する。
2.獣害も厳しかった。
市の補助金により獣害対策電気柵は導入しましたが、畑全面をカバーできているわけではない。
中古の海苔網(ネット)を張った場所ではシカは防げているが、イノシシに対しては全く効果なし。
しかもネット際の草刈りが大変で、時間も体力もメンタルも削がれた。
サツマイモは全損、ナス、春じゃがいも、大豆、黒大豆に大きな被害が出た。
メンタル的にもくじけて、立て直しの作業を諦めてしまった(根性無しのダメ男である)。
【来年どうするか】
市の補助金を申請し、電気柵を増設する。
被害の出やすい作物を近い場所に集約して、草刈りなど管理の集中化、防除力を強化する。
天に祈る(笑)。
3.雑草の生育スピードが異常に速く、草刈りに時間を取られ過ぎた。
今年から導入したスパイダーモア(7年落ちの中古)は大活躍で、道路際や畔の草刈りは飛躍的に効率化した。
一方で、機械が行き届かない苗ぎわや防獣ネット際の除草は非常に手間取った。
この5年くらい、エノコログサの大型化・強靭化が異常で、とても手除草では間に合わない。
またパニカムやヤブガラシ(ハウス内に侵入)など新しい雑草が大繁茂している。
【来年どうするか】
新しいスパイダーモアを購入する(じつは廃車になりました)。
露地の畝間には防草シートまたはビニールマルチを張る(経費が増えるが)。
防獣ネットや電気柵は、その両側から機械除草が出来るように、左右スペースに十分な余裕を持たせる(栽培面積が減るが)。
苗際の除草は諦める(笑)。
4.畑の半分超を移転している最中で、そこの水はけが悪すぎた。
今現在、いちばん苦労していることです。
春から新畑の開墾に取り組み、七三農園の約半分(7反)の移転を進めています。
新しい畑の水はけが非常に悪くて苦戦しています。
異常に短かった梅雨、7月の雨不足があって顕在化していませんでしたが、栽培直前の9月に大雨が続き(200ミリ超え)、水はけの悪さが牙をむきました。
雨の後、まったく水が捌けないところ、良く乾くところが混在することが判明。
トラクターは入れない(沈んで脱出できなくなる)ので、手作業で溝を掘りました。
深さ25センチ、幅80センチ、長さ約50mを手作業で。
土の比重を1.6とすると約16トン!?
さらに50mを掘る予定(地盤が乾いていればユンボをレンタルしたい)。

堀った溝底に電動ドリル(φ25ミリ)で下穴を開け、次に手作業で8センチの穴を深さ60センチまで掘る。
いわゆる「点穴」というものです。
これを酷暑の中、黙々とやっていました。
また湧き水が出ているところもあり、コンクリートをはつって排水穴を新設。
それでもダメな場所では、敢えて深い穴を掘って水を集中させ、ポンプで強制排水。
こうやって、何とか畝づくりと定植を進めています。
12月に定植する玉ねぎは、栽培期間が6か月と長いため、排水不良地では病気が出るのが確実で、さらに新しい場所を開墾しています。
田んぼは水を漏らさないことが最優先なので、田んぼとしては優秀な場所だったのでしょう。
しかし野菜畑に転換するには、排水性がもっとも大切になります。
これまでと全く逆の機能が求められるので、手間が取られますが仕方がない。
【来年どうするか】
5月にセスバニアなどマメ科直根性の緑肥を蒔いて、分厚い硬盤層を粉砕する。
明渠をメンテナンスして、排水性と乾燥機能を高める。
5年間くらい栽培を続ければ、排水性は改善されて行くはず。
5.病害虫の被害も出た。
七三農園では病気や害虫はわりと少ない。
今年はネキリムシの被害が出ている。
地這栽培の秋キュウリは9月の大雨に叩かれて、病気が出たのかほとんど枯れてしまった。
【来年どうするか】
緑肥による土づくりを続けて物理性・化学性・生物性を高める。
良苗を育てて抵抗力を高める。
6.残暑が異常に厳しい。しかも雨が一気に降り過ぎ。
気温、降水量とも観測史上最高を更新し続けている。
大雨と高温乾燥が極端すぎる。
気力・体力が削がれるだけでなく、機械にも大きな負担が掛かっている。
草刈り機・スパイダーモアのワイヤーや刃などの経費が大きくなった。
ハンマーナイフモアのゴムクローラーは在庫切れで、年内に入荷するか問い合わせ中(涙)。
10月現在で、草刈りに使ったガソリンが計100リットルを超えた。
オイル代と燃料費も掛かりすぎている。
【来年どうするか】
農家仲間のあいだでは、気候が厳しい時期は諦めて農業を休んでしまおうかと話している。
しかし、その間の収入をどうするかが問題!
7.田んぼの移転も決まっており、用排水の見直しや畔の作り直しに迫られている。
畑に加えて田んぼ移転が決まっている。
場所は借りられたが、用排水の見直しに加えて、畔の作り直しが必要。
冬の間にユンボを借りて一人で土木工事をやる予定。
このように言い訳を並べてみたが、疲労は蓄積しているものの健康面は万全なので、やる気を失わずにコツコツ頑張るだけなのだ。
やればやっただけ前に進むのが農業の良いところ。
しかし、この3年間は、就農以後の10年間ふつうに出来たことが出来なくなってきている。
設備面も技術面も経営面も大きく見直す時期に来ているのだろう。
このような苦難は全国的にも同じ傾向であり、資金面や体力面で乗り越えられなかった農家は離農が進むかも知れない。
何とか乗り切って、志和の自然を詰め込んだ野菜セットやお米を届け続けたい。
精いっぱい頑張ってダメだった場合は、思い切って他の手段を考えれば良い。
以上、経過報告でした。




























